努力を続けているのに、思うような結果が出ない。
失敗を引きずり、次の一歩を踏み出せない。
そんなときに読みたいのが、羽生善治の言葉です。
羽生の名言には、勝つための技術だけではなく、才能、継続、失敗、迷い、変化との向き合い方が表れています。
史上初の七冠独占を成し遂げた羽生も、すべての勝負に勝ってきたわけではありません。
勝敗が明確に決まる世界で、何度も負けを受け止め、方法を変えながら前へ進んできました。その経験から生まれた言葉だからこそ、仕事や人生で迷ったときにも響きます。
一方、インターネット上には、発言した時期や媒体を確認できない「羽生善治の名言」も少なくありません。
そこでこの記事では、本人の著書、講演、インタビュー、記者会見などで出典を確認できた言葉から15本を選びました。発言した場面と、今を生きる私たちが受け取れる意味もあわせて紹介します。
今の自分に必要な一言を探しながら、読んでみてください。
羽生善治の名言・格言15選【一覧】
- 報われる保証がなくても続ける力が才能になる
- 小さな積み重ねを習慣にする
- 楽しさを、長く続ける力に変える
- わずかな進歩にも目を向ける
- 好奇心から新しい発見を生み出す
- 負けを受け止め、次へ進む
- 一度の負けを人生の結論にしない
- 失敗を認め、同じ失敗を繰り返さない
- 進めないときは、まず気持ちを切り替える
- 今日の負けを、明日まで背負い続けない
- リスクも含めて決断する
- 最後は自分が納得できる道を選ぶ
- 安全を確保して、不慣れな環境へ踏み出す
- 想定外の出来事に合わせて判断し直す
- 目的を見失わず、変化へ適応する
羽生善治とは
羽生善治は、1970年9月27日生まれ、埼玉県所沢市出身の将棋棋士です。
1985年、15歳でプロ入り。1989年に19歳で初タイトルとなる竜王を獲得し、1996年には当時の七大タイトルをすべて保持する、史上初の七冠独占を成し遂げました。
2017年には、七つのタイトルすべてで永世称号の資格を得る「永世七冠」を達成。2018年には国民栄誉賞を受賞しています。
タイトル獲得は通算99期で歴代1位。2023年6月から2025年6月までは、日本将棋連盟の会長も務めました。
2026年8月現在も55歳の現役棋士として対局を続けています。大きな記録を築いたあとも変化を受け入れ、次の一局へ向かう姿勢は、羽生の言葉にも一貫して表れています。
参考:羽生善治 棋士データベース|日本将棋連盟/日本将棋連盟の歴代会長
努力と成長についての羽生善治の名言5選
1.「報われなくても続けることが才能」
報われないかもしれないところで、同じ情熱、気力、モチベーションをもって継続してやるのは非常に大変なことであり、私は、それこそが才能だと思っている。
出典:羽生善治公式X/『100年インタビュー 才能とは続けられること』
努力すれば必ず報われると分かっているなら、続けることは難しくありません。
本当に苦しいのは、結果が出る保証のない時間です。手応えがなく、周囲から評価されなくても、同じ方向へ力を注ぎ続けられるかが問われます。
羽生がいう才能は、生まれつきの能力だけではありません。結果が見えない日にも、自分ができることを続けられる力です。
参考:「才能とは続けられること」|羽生善治公式X/『才能とは続けられること』公式書籍ページ|PHP研究所
2.「少しずつ積み重ねる習慣」
私は公文式学習を続けていたおかげで、「少しずつ積み重ねる」という習慣が身につきました。
出典:KUMON now!羽生善治さんインタビュー(前編)
羽生は、小学2年生から中学3年生まで公文式学習を続けました。その経験で身についた習慣は、将棋にも通じていると語っています。
大きな目標ほど、一日で到達することはできません。だからこそ、今日やる量を小さく決め、明日も同じ場所へ戻れる仕組みが必要です。
一度に頑張りすぎるより、止めずに積み重ねる。目立たない一日も、長い目で見れば力に変わります。
参考:将棋でも学習でも大切な「少しずつ積み重ねる習慣」|KUMON now!
小さな努力を続ける大切さは、イチローの名言・格言15選でも紹介しています。
3.「楽しい気持ちが出発点」
私は誰からも強制されず、ただ楽しい気持ちが出発点としてあったので長続きしたのかもしれません。
出典:KUMON now!羽生善治さんインタビュー(前編)
羽生が将棋を始めたのは、小学1年生のころです。当時は勝負の厳しさよりも、将棋を指すこと自体が面白くて仕方なかったと振り返っています。
何かを続けるには、我慢も必要です。しかし、苦しさだけを努力の証しにすると、心は長く持ちません。
好きな部分を見つける。成長をゲームのように記録する。一緒に取り組む仲間を作る。続けたいことには、楽しさが残る工夫も必要です。
参考:羽生善治さん「ただ将棋を指すのが楽しくて仕方なかった」|KUMON now!
4.「少しずつでも進歩を感じる」
少しずつでもいいので、「進歩したな」と感じることが、何かを究めていくうえで大切です。
出典:KUMON now!羽生善治さんインタビュー(後編)
最終目標だけを見ていると、今の自分との差が大きく感じられます。
羽生は、将棋を続けられた理由として、いつも発見があり、自分の進歩を実感できたことを挙げています。
昨日より一つ分かるようになった。前より少し早くできた。結果が出ない時期には、こうした小さな変化を見つけることが、努力を次の日へつなぎます。
参考:「少しずつでも進歩を感じることが大切」|KUMON now!
5.「発見や進歩の源泉は好奇心」
「発見」や「進歩」の源泉は「好奇心」だと思います。
出典:KUMON now!羽生善治さんインタビュー(後編)
努力が同じ作業の繰り返しになると、続けること自体が目的になってしまいます。
羽生は、知らないことがあれば調べ、経験したことがなければやってみる姿勢が、前へ進む原動力になると語っています。
伸び悩んだときは、努力の量だけでなく、新しい問いを一つ持ってみる。好奇心は、止まりかけた成長をもう一度動かすきっかけになります。
失敗と逆境についての羽生善治の名言5選
6.「負けを上手に受け止める」
負けを上手に受けとめることも、生きていくのには必要なことだと思います。
出典:KUMON now!羽生善治さんインタビュー(後編)
勝負の世界では、どちらかが必ず負けます。羽生も若いころは、一つの負けを何日も引きずることがあったと明かしています。
負けを受け止めるとは、悔しさを感じないことではありません。起きた結果を認めたうえで、次へ進める状態に戻していくことです。
反省する時間と、考えるのをやめる時間を分ける。負けた自分を責め続けないことも、長く挑戦するために必要な力です。
参考:羽生善治さん「負けを受けとめる大切さ」|KUMON now!
7.「一度の負けですべては終わらない」
一度の負けですべてが終わってしまうほど、人生は単純じゃないと思います。
出典:KUMON now!羽生善治さんインタビュー(後編)
大切な試験、仕事、勝負に失敗すると、それまでの努力まで否定されたように感じることがあります。
しかし、一度の結果は人生全体の結論ではありません。その経験が次の判断に役立つこともあれば、別の道を見つけるきっかけになることもあります。
今は負けに見えても、この先まで負けだと決まったわけではない。挫折した直後ほど、人生を長い時間で見ることが大切です。
参考:「一度の負けですべてが終わるほど、人生は単純じゃない」|KUMON now!
心が折れそうな日に読み返したい言葉は、自信をなくしたときに読みたい名言10選にもまとめています。
8.「失敗を失敗だと認識する」
大切なのは、失敗をすることではなくて、その失敗を繰り返さないとか、あるいは、ちゃんと失敗であると認識することだと思います。
出典:Climbers 2022、羽生善治講演
羽生は、一局を100点満点で終えることはほとんどなく、必ずどこかにミスや失敗があると語っています。
失敗した事実から目をそらせば、同じ場面で同じことを繰り返します。一方で、「自分は駄目だ」と人格まで否定しても、改善点は見えません。
何が起きたのか。次は何を変えるのか。失敗を具体的に言葉にできれば、それは自分を責める材料ではなく、次の一手を考える情報になります。
参考:羽生善治氏が語る、失敗や挫折の乗り越え方|ログミーBusiness
失敗を分析し、次に生かす考え方は、野村克也の名言・格言15選にも通じています。
9.「うまくいかないときは気持ちを切り替える」
うまくいかない状況の時は、技術的なことよりも、うまくその気持ちを切り替えることを心がけるようにしています。
出典:Climbers 2022、羽生善治講演
結果が出ないと、もっと努力しなければならないと考えがちです。
しかし、心が疲れ切った状態では、技術や知識を増やしても力を発揮できません。羽生は、前へ進もうという気持ちになれないときほど、気持ちの切り替えを意識すると語りました。
休む、眠る、場所を変える。一度盤面から離れることも、諦めではありません。次に考える力を取り戻すための行動です。
参考:羽生善治氏が語る、失敗や挫折の乗り越え方|ログミーBusiness
10.「次、また明日から頑張っていこう」
今日は負けてしまったけれども、次、また明日から頑張っていこう。
出典:永世七冠達成記者会見(2017年12月13日)
2017年、羽生は永世七冠を達成したあとの記者会見で、負けた対局からの切り替え方を聞かれました。
若いころは考えすぎることもあったものの、近年は対局後にしっかり眠れれば、また次があると思えると答えています。
今日の失敗を、今日のうちに完全に解決できないこともあります。そんな日は、反省を一つだけ残して休む。「また明日」と区切ることで、次の一歩を踏み出しやすくなります。
参考:羽生善治永世七冠が語った、負けたあとの気持ちの切り替え|ログミーBusiness
決断と挑戦についての羽生善治の名言5選
11.「決断とリスクはワンセット」
決断とリスクはワンセットである。
出典:羽生善治『決断力』(角川新書)
何かを選ぶときには、選ばなかった可能性を手放すことになります。どちらが正しいか分からないからこそ、決断にはリスクが伴います。
失敗しない選択肢を探し続けても、完全に安全な道は見つかりません。決めずに時間が過ぎることにも、機会を逃すリスクがあります。
大切なのは、危険を無視することではありません。失う可能性も考えたうえで、自分が引き受けられる道を選ぶことです。
人生の選択肢を前に迷っているときは、人生に迷ったときに読みたい名言28選も参考にしてください。
12.「迷ったときこそ自分の好きなスタイルを貫く」
迷ったときにこそ自分の好きなスタイルを貫いていれば、後悔はありませんから。
出典:NTT東日本 BizDrive、羽生善治インタビュー
羽生は、対局の終盤まで手に迷った場合、最後は自分の好き嫌いで選ぶと語っています。
これは、考えずに感覚だけで決めるという意味ではありません。状況や選択肢を十分に検討しても答えが出ないとき、最後の基準を自分の価値観に置くということです。
他人が選んだ正解より、自分で引き受けられる選択をする。その方が、結果が思いどおりにならなくても、次へ進むための納得が残ります。
参考:羽生善治「迷ったときにこそ自分の好きなスタイルを貫く」|NTT東日本 BizDrive
13.「慣れていない環境に身を置く」
1つ大事なことは、自分自身が慣れていない環境に身を置く、ということだと思うんですね。
出典:Climbers 2022、羽生善治講演
慣れた場所では、考えなくても動けることが増えます。それは強みですが、新しい視点を得にくくなることもあります。
羽生は、不慣れな場面で試行錯誤し、もがく経験が「大局観」を磨くと説明しました。同時に、安全を確保したうえで挑戦することも付け加えています。
環境を大きく変えなくても、初めての役割を引き受ける、違う分野を学ぶ、新しい人と話すことはできます。小さな不慣れが、停滞を抜け出す刺激になります。
参考:羽生善治氏が考える、大局観の磨き方|ログミーBusiness
環境を変えて自分を成長させる考え方は、本田圭佑の名言・格言15選でも紹介しています。
14.「想定外のときに、どう判断し行動するか」
大事なのは、そんな想定外の状況になったときに、どういう判断をして、どんな行動をとるかではないでしょうか。
出典:KUMON now!羽生善治さんインタビュー(後編)
人生は、将棋のように条件が固定されていません。十分に準備しても、想定していなかった出来事は起こります。
羽生が重視しているのは、未来を完璧に当てることではなく、予測が外れたあとにどう対応するかです。
計画どおりに進まなかったときは、失敗と決める前に、今ある選択肢を見直す。変化した状況に合わせて次の一手を選び直す力は、仕事でも人生でも支えになります。
参考:羽生善治さん「予測不可能な未来に向けて」|KUMON now!
仕事で判断に迷ったときに読みたい言葉は、仕事に疲れたときに読みたい名言23選にもまとめています。
15.「変化に対応し、適応していく」
その変化に対して、進歩し、対応し、適応していくことが求められます。
出典:Climbers 2022、羽生善治講演
将棋は伝統的な世界ですが、盤上の技術は絶えず変化しています。羽生は、AIが研究へ入ってきた時代にも、新しいものを学び、取り入れてきました。
変化への適応は、これまでの自分をすべて捨てることではありません。守りたい目的を見失わず、そこへ進む方法を更新することです。
昔うまくいった方法が、今も最善とは限りません。努力しているのに進めないときは、努力をやめるのではなく、やり方を変える余地がないか考えてみることが大切です。
参考:羽生善治氏が語る、変化に対応し適応する力|ログミーBusiness
試行錯誤しながら新しい方法へ挑んだ経営者の言葉は、本田宗一郎の名言・格言15選にもまとめています。
羽生善治の座右の銘は「運命は勇者に微笑む」
運命は勇者に微笑む
羽生善治は、自身の公式Xでこの言葉を「わたしの座右の銘です」と明記しています。
先が見えない状況で一歩を踏み出すには、勇気が必要です。ただ待っているだけでは、新しい道は開きません。
一方、勇気と無謀は違います。羽生の言葉をたどると、失敗の可能性を受け入れ、準備を重ねたうえで挑戦する姿勢が見えてきます。
なお、この言葉は羽生本人の名言として広く紹介されていますが、この記事では、本人が大切にしている「座右の銘」として区別して掲載しました。
参考:「運命は勇者に微笑む」|羽生善治公式X/羽生善治が語る、棋士という職業そして人生について|ダ・ヴィンチWeb
羽生善治の名言から分かること
羽生善治の言葉に共通しているのは、勝つことだけを追いかけるのではなく、負けや変化も含めて長く成長しようとする姿勢です。
- 報われる保証がなくても続ける力も、才能の一つ
- 大きな目標は、少しずつ積み重ねる習慣から始まる
- 一度の負けを、人生全体の結論にしない
- 失敗は人格ではなく、次の行動を変えるための情報として見る
- 正解が分からないときは、自分が引き受けられる道を選ぶ
- 目的を守るために、方法は変化へ適応させる
結果が出ないと、これまでの努力に意味がなかったように感じることがあります。
しかし、今の負けですべてが終わるほど、人生は単純ではありません。
今日は休み、明日また小さく積み重ねる。必要なら方法を変える。その一手を選べたなら、挫折はまだ人生の途中です。
羽生善治の言葉をもっと深く知りたい人へ
短い名言だけでなく、羽生善治の考え方が生まれた背景まで知りたい人には、次の2冊が向いています。
『100年インタビュー 才能とは続けられること』
将棋との出会い、プロ棋士になるまでの歩み、集中やプレッシャーとの向き合い方を、本人のロングインタビューからまとめた一冊です。
「続けることも才能」という言葉を、結果が出るまでの経験とあわせて読みたい人に適しています。
参考:『才能とは続けられること』公式書籍ページ|PHP研究所
『決断力』
限られた時間で何を選び、何を捨てるのか。羽生が数々の対局で磨いてきた、直感、集中、リスクとの向き合い方をまとめた一冊です。
仕事や人生の選択で迷い、最後の一歩を決めきれない人に多くのヒントを与えてくれます。

コメント