居場所があるはずなのに、うまくなじめない。好きで始めたことなのに、続け方が分からなくなってきた。
ドラマ『カルテット』には、そんな気持ちを考えるきっかけになる言葉があります。一方で、唐揚げの食べ方をめぐって話が大きくなるような、思い出すと少し笑ってしまう会話もあります。
この記事では、2017年にTBSで放送された『カルテット』の名言・名セリフを6つ紹介します。 食事と生きることを結ぶ真紀の言葉、家森の会話への持論、別府が仲間に向ける言葉、すずめが表現を後押しする一言を、人物と場面から振り返ります。
引用は、TBS公式のセリフ特集と放送当時の記事で確認した短い抜粋です。その後の解説は、言葉の背景を踏まえたこの記事の受け止め方として読んでみてください。
※最終話を含む展開に触れます。登場人物のセリフと、出演者本人の発言は区別しています。
『カルテット』の名言を、人物・場面から探す
| 項目とテーマ | 登場人物 | 場面・確認範囲 |
|---|---|---|
| 1.悲しみを抱えたまま暮らす | 巻真紀 | 第3話、すずめの居場所を語る言葉 |
| 2.言葉の表面と、本音のずれ | 家森諭高 | TBS公式の第1〜3話のセリフ特集に掲載 |
| 3.唐揚げの食べ方から始まる会話 | 家森諭高 | 第1話の食卓をめぐるやりとり |
| 4.一人で背負いすぎない関係 | 別府司 | 物語の終盤、仲間について語る言葉 |
| 5.夢との距離を選び直す | 家森諭高 | 最終話、再会後に今の気持ちを語る場面 |
| 6.届く相手がいるかもしれない | 世吹すずめ | 最終話、コンサートに向かう場面 |
話数を確認できたものは記載し、特定できなかったものは掲載資料や場面で示しています。
1.悲しみを抱えたまま暮らす
泣きながらご飯食べたことある人は、生きていけます。
巻真紀(松たか子)/第3話・セリフの一部
出典:ドラマ『カルテット』(TBS)。TBS公式「みぞみぞするセリフ」/第3話の公式あらすじ
第3話では、すずめの父に関する知らせが届き、彼女の過去が物語に入ってきます。公式のセリフ特集では、真紀が共同生活の場所をすずめの居場所として捉える言葉に続いて、この一節が掲載されています。
泣いた経験を、強い人になれた証明にしなくてもよいのでしょう。悲しみが消えていなくても、食事をし、今日を過ごしている。その姿に目を向ける言葉として受け止められます。
つらいことがあると、早く立ち直らなければと思う日があります。食事中に思い出して涙が出ると、まだ引きずっている自分を責めたくなることもあるかもしれません。
けれど、悲しみが残っていることと、今日を暮らしていることは、同時にあってよいはずです。お湯を沸かした。食べられるものを一つ用意した。片づけは明日にして休んだ。目立つ前進ではなくても、その日の暮らしはあります。
この言葉は、元気になった人だけを迎えるのではなく、まだ悲しい人のためにも場所を空けておくような一言として読み返したくなります。
2.言葉の表面と、本音のずれ
言葉と気持ちは違うの。
家森諭高(高橋一生)/セリフの一部
出典:ドラマ『カルテット』(TBS)。TBS公式「みぞみぞするセリフ」
家森が、言葉の行間について、恋愛や日常の会話を例に説明する一節です。第1〜3話を扱う公式特集に、家森の発言として掲載されています。ここでは特定の話数までは記していません。
会いたい気持ちが、そのままの言葉では出てこない。誘ってほしくても、自分から誘うことはためらう。人の会話には、口にした文章だけでは説明しきれない部分があります。
ただ、このセリフを、何も言われなくても全部察しなければいけないという宿題にすると、会話がさらに疲れるものになってしまいます。
気になるときは、今の話はどういう意味だったのか、聞いてみてもよいのでしょう。自分が伝える側なら、お願いしたいことを一つ具体的にする方法もあります。
遠回しな表現のおかしさと、思いをそのまま言いにくい人の不器用さ。家森の持論には、その両方があります。正しい会話の規則として覚えるより、作品のやりとりと一緒に楽しみたい言葉です。
3.唐揚げの食べ方から始まる会話
不可逆なんだよ。
家森諭高(高橋一生)/唐揚げにレモンをかける話の一部
出典:ドラマ『カルテット』(TBS)。TBS公式「みぞみぞするセリフ」/第1話の食卓を振り返るReal Soundの記事
初めて4人で唐揚げを食べる場面で、レモンをかけるかどうかが話題になります。家森は、一度かけたら元には戻せないということを、大げさなくらいに説明します。不可逆とは、元の状態に戻せないという意味です。
食卓の小さな出来事に、そんな難しい言葉を持ち出す。その温度差が、本作らしい会話のおかしみになっています。
家森が気にしているのは、みんなにとって当たり前の食べ方が同じとは限らない、ということでもあります。ただ、ここで立派な人生訓にまとめてしまうより、好みの違う4人が、言い合いながら同じ食卓にいる場面を思い出したくなります。
気の利いた励ましだけでなく、こうした妙に細かい議論まで記憶に残る。それも『カルテット』のセリフを読み返す楽しさです。
4.一人で背負いすぎない関係
全力でみんなを甘やかしますから
別府司(松田龍平)/セリフの一部
出典:ドラマ『カルテット』(TBS)。発言と人物の確認資料:Real Sound、2017年3月19日
物語の終盤、別府がカルテットの仲間について語る言葉です。確認資料では、周囲から責められるような状況を想定しても、仲間を支えるという発言の一部として紹介されています。
いつも役に立ち、迷惑をかけず、落ち着いて振る舞う。そんな自分でいなければ、人と一緒にいられないと感じる日があります。
けれど、困っていることを隠し続けると、周りも手を貸すきっかけを見つけにくくなります。今は余裕がない、今日は話を聞いてほしい、ここだけ手伝ってほしい。そう伝えられる関係が一つでもあれば、背負うものは少し変わるかもしれません。
別府の言葉を読むときも、誰か一人が何でも引き受ける関係を目標にする必要はないでしょう。頼られた側にも、その日にできることと、できないことがあります。
うまくできない部分を見せても、関係を終わらせなくてよい。 この一言には、そんな余地を見いだせます。自分の弱さを急いで直す前に、安心して話せる相手を思い浮かべてみてもよいのだと思います。
人との距離を考えたいときは、人間関係に疲れたときに読みたい名言にも、頼ることや自分を責めすぎないことを考える言葉をまとめています。
5.夢との距離を選び直す
夢を趣味にするタイミングが来た
家森諭高(高橋一生)/最終話
出典:ドラマ『カルテット』(TBS)。セリフと再会後の場面の確認資料:Real Sound、2017年3月22日
最終話で、再び集まった4人が近況を語る場面。家森は、音楽との向き合い方について、この言葉を口にします。
好きなことを、仕事にしたい。自分の力で続けていけるようになりたい。そう考えてきたものほど、続け方を変えるときには、負けを認めるような気持ちになることがあります。
でも、好きでいることと、その活動だけで生活することは、同じ条件ではありません。別の仕事で暮らしを支えながら続ける。使う時間を少し減らす。いったん人前に出すことから離れて、自分のために取り組む。関わり方には幅があります。
この言葉を、夢はあきらめるべきだという結論にする必要はないのでしょう。反対に、好きなら苦しくても今の形で続けるべきだ、と受け取る必要もありません。
大切にしてきたものを、今の暮らしに合わせて持ち直す。続けるか、やめるかの二つだけで決めず、どんな形なら関わっていたいのかを考える言葉として読めます。
夢や挑戦との付き合い方を、ほかの作品からも考えたい方には、『宇宙兄弟』の心に響く名言も紹介しています。
6.届く相手がいるかもしれない
届くひとには届くんじゃないですか?
世吹すずめ(満島ひかり)/最終話
出典:ドラマ『カルテット』(TBS)。セリフとコンサートに向かう場面の確認資料:Real Sound、2017年3月22日
4人が、もう一度コンサートを開こうとする場面の言葉です。真紀に向けられる世間の関心がある中で、すずめは、演奏を受け取る人の存在に目を向けます。
何かを作ったり、仕事で提案したりしたとき、全員からよい反応が返ってくるとは限りません。思っていたほど伝わらなかったことが、後から気になる日もあります。
そんなとき、反応しなかった人の数ばかりを見ていると、少しでも受け取ってくれた人まで、見えにくくなることがあります。
すずめの一言は、必ず誰かが評価してくれるという保証ではありません。まだ分からない段階でも、受け取る相手がいる可能性に、目を向ける言葉として響きます。
今できる範囲で整えて、誰かに渡してみる。反応を見て、次に変えたいところを考える。その途中で、自分がやってきたことの全部を、意味がなかったと決めなくてもよいのでしょう。
夢を大きな成果だけで測りそうになったとき、家森の言葉と並べて考えてみたい一節です。
『カルテット』はどんなドラマ?食卓と音楽のある物語
| 項目 | 作品情報 |
|---|---|
| 放送 | TBS・2017年1月17日〜3月21日 |
| 脚本 | 坂元裕二 |
| 巻真紀 | 松たか子 |
| 世吹すずめ | 満島ひかり |
| 家森諭高 | 高橋一生 |
| 別府司 | 松田龍平 |
| 物語の舞台 | 軽井沢で共同生活を送る4人の演奏者 |
東京のカラオケボックスで出会った4人が、弦楽四重奏のグループを組み、軽井沢で一緒に暮らす物語です。その出会いには秘密があり、日常の会話とともに、それぞれの過去や人間関係が見えてきます。
食事をする、練習をする、何でもない話をする。そうした時間の中で出てくる言葉だから、短く切り取ったときとは違う響きがあります。
公式のセリフ特集でも、共感できるかどうかを一つに決めず、人によって受け止め方が違うものとして、登場人物たちの言葉が紹介されています。本作を振り返るときも、一人の発言をそのまま正解にせず、相手の返事や場面まで一緒に見ておきたいところです。
今の自分に近い言葉から、読み返してみる
『カルテット』の言葉には、励ましだけでなく、言いにくい本音や、食卓の小さな笑いもあります。どのセリフにも、自分の行動を変える役目を持たせなくてよいのでしょう。
まだ悲しみが残っている。人との会話に疲れている。好きなことの続け方を考えている。今の気持ちに近い一節があれば、それだけを読み返してみてください。
すぐに答えが出なくても、今日は少し違う見方ができた。そのくらいの余白を残して、また自分の暮らしに戻っていけたらと思います。


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