映画『PERFECT DAYS』(パーフェクトデイズ)の川辺の場面で、姪のニコが海へ行く日を尋ねると、平山はこう答えます
今度は今度、今は今
出典:映画『PERFECT DAYS』(2023年)、平山のセリフ。NiEWの場面採録で文言を確認
「今度」がいつかは答えない平山。二人の関係と前後の会話から、平山が言う「今」がどんな時間だったのかを振り返ります
誰のセリフ? 平山とニコが自転車を止めた場面
平山を演じるのは役所広司、ニコを演じるのは中野有紗です。東京で公衆トイレの清掃員として働く平山のもとへ、母親とけんかをしたニコが訪ねてきます
二人が自転車で並んで走っているとき、平山は自分とニコの母親が違う世界にいると話します。ニコは、自分はどちらにいるのかと聞きます
やがて二人は川辺で自転車を止めます。ニコは川の先に海があると知り、行ってみようと誘います。またの機会にしようという平山に、ニコはそれがいつなのかを尋ねます。そこで平山が返したのが、冒頭の一言です
「今度は今度、今は今」はどういう意味?
この場面の「今度」は、海へ行く別の機会のことです。平山はいつ行くかを決めず、その話を次に持ち越します。「今」は、二人が自転車で川辺まで来て、一緒に過ごしている時間です
ニコの質問だけを見れば、平山の返事は、いつ行くのかという答えにはなっていません。でも、この場面はそこで終わりません。ニコも同じ言葉を口にし、二人はそれを繰り返しながら走り出します。海まで行く日が決まらなくても、川辺を走る時間はもう二人のものです
平山は普段、仕事へ向かう車でカセットを聴き、夜には本を読みます。映画公式サイトのあらすじには、清掃の合間に木漏れ日を見つける楽しみも描かれています。決まったことを繰り返す暮らしのなかで、自転車に乗る時間が、この日はニコと声を重ねる時間になります
木漏れ日と同じように、誰かと声を重ねたその瞬間は、その日だけのものです。先の予定が決まるまでの時間にも、その日にしかないことがある。場面ごと振り返ると、そんなふうにも読めます
先のことが気になって、今日が手につかないときに
うまくいかない時期に、ドラマのセリフや本の言葉が私を支えてくれました。このブログでは、しんどい日にも心に置いておける言葉を紹介しています
たとえば、来月の勤務予定がまだ出ていないのに、何度も予定表を開いてしまう日。聞いておきたいことをメモに残して、温かいうちに夕飯を食べる。先のことが決まるまでの時間にも、自分の暮らしは続いています
今日の時間に戻るといっても、何かを始めたり、楽しく過ごしたりする必要はありません。今夜はもう休む、と決めることも、今日を過ごす一つの形です
予定の入っていない時間について、別の映画の言葉も読んでみたい方へ。『プーと大人になった僕』の名言|「何もしない」と大切なものを考える

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