史上初の八冠を成し遂げた藤井聡太を見ると、「特別な才能があるから、迷わず勝ち続けてきた」と思うかもしれません。
しかし、本人の発言をたどると、繰り返し現れるのは華やかな記録よりも「一手」「課題」「成長」という考え方です。
勝った対局にも改善点を探し、負けた後には足りなかった力と向き合う。大きな結果を残しても、自分を完成した存在とは考えていません。
その姿勢は、努力が結果につながらず焦っているときに、遠いゴールではなく「今日できる一手」へ意識を戻してくれます。
この記事では、本人インタビューや記者会見など、発言元を確認できた藤井聡太の名言・格言を15本選びました。
努力と成長、勝負との向き合い方、失敗を次へつなげる考え方の3つに分け、言葉が生まれた場面と、仕事や勉強などの日常でどう受け取れるかを紹介します。
最初から順番に読む必要はありません。今の状況に近い見出しから、次の一手を探してみてください。
藤井聡太の名言・格言15選【一覧】
- 好きなことを自然に続ける
- 目の前の一手を積み重ねる
- 成長できる余地を自分で広げる
- 努力の先にある楽しみを大切にする
- 結果よりも自分の力を高める
- 勝ちたいときほど最善へ近づく
- 自分の型にとらわれすぎない
- 結果を求める前に実力をつける
- 喜びに浸るより次の準備をする
- 人が考え、選ぶ過程にも価値がある
- 自分で考えて新しい道をつくる
- 一局ごとに課題を見つける
- 頂上が見えなくても登り続ける
- 大きな結果を残しても現在地を見失わない
- 負けた後も少しずつ力をつける
藤井聡太とは
藤井聡太は、2002年7月19日生まれ、愛知県瀬戸市出身の将棋棋士です。
2016年10月、14歳2か月でプロ棋士となり、デビューから公式戦29連勝を記録しました。
2020年に初タイトルを獲得し、2023年には将棋界で初めて八つのタイトルを同時に保持しました。
2026年8月時点では、竜王・名人・王位・棋聖・棋王・王将の六つのタイトルを保持しています。
記録の数だけを見れば、早くから完成された棋士に見えるかもしれません。
しかし、今回集めた発言には、肩書よりも対局の内容と、これから伸ばせる部分へ意識を向ける姿勢が表れています。
参考:日本将棋連盟「藤井聡太 棋士データベース」、日本将棋連盟「棋戦情報」、KUMON特別対談
同じ将棋界で長く挑戦を続けてきた人物の言葉は、羽生善治の名言・格言15選でも紹介しています。
努力を続け、自分の力を高める藤井聡太の名言5選
1.好きだからこそ自然に続けられた
好きだから自然に続けてきました
出典:将棋情報局「藤井聡太四段インタビュー『強くなることが僕の使命』」(2017年)
藤井聡太が、幼い頃から取り組んできた詰将棋について語った言葉です。
続けるためには、強い意志や我慢が必要だと考えてしまうことがあります。
しかし、長く続くものの出発点には「好きだから、もう少し知りたい」という素直な気持ちがあります。
好きなことでも、苦しい日や思うようにできない日はあります。それでも、また向き合いたいと思える気持ちは、努力を支える大きな力になります。
続けられない自分を責める前に、何に興味を感じたのかを思い出す。そこから、もう一度始めてもよいのだと思わせてくれる言葉です。
2.目の前の一手が結果につながる
一手一手最善手を探して、その積み重ねが結果につながるわけで
出典:将棋情報局「インタビュー 藤井聡太四段『2018年は“飛翔”の年に』1」(2018年)
デビュー後の連勝中、どのように集中力を保っていたのかと聞かれたときの言葉です。
大きな目標ばかり見ていると、今の自分との差に圧倒されることがあります。
けれど、結果は一度の特別な行動だけで生まれるものではありません。今日できることを考え、その一つを積み重ねた先にあります。
未来を完全にコントロールすることはできなくても、今の一手は選べます。
遠い目標に苦しくなったときは、イチローの名言・格言15選で紹介している、小さな積み重ねについての言葉も参考にしてください。
3.成長できる余地は自分の中にある
強くなれる余地はたくさんあると思っていますので、すべては自分次第です
出典:将棋情報局「藤井聡太二冠インタビュー 初戴冠となった棋聖戦を語る」(2020年)
初めてタイトルを獲得した後、これからどれほど強くなれると思うかと聞かれたときの答えです。
大きな成果を残すと、周囲からは完成した人のように見られます。
しかし藤井聡太が見ていたのは、すでに得た評価ではなく、これから伸ばせる部分でした。
「自分次第」という言葉は、すべてを一人で背負うという意味ではありません。
変えられない条件に悩み続けるより、今の自分が工夫できることへ目を向ける。その姿勢が、成長する可能性を閉じないために大切なのだと思います。
4.努力の先に自分自身の楽しみを持つ
努力の先にある自分自身の楽しみを感じていたいなと思います
出典:KUMON「藤井聡太さん 終わりのない将棋の極みへ」(2023年)
努力を続ける理由について語った言葉です。
結果や他人からの評価だけを目的にすると、報われない時間が長く感じられます。
藤井聡太は、強くなることで今までと違う考え方や見え方に出会えることに、面白さを感じると話しています。
できなかったことが少し分かる。昨日より一つ深く考えられる。以前とは違う見方ができる。
その小さな変化を自分の楽しみにできれば、結果が出る前の時間にも意味を見つけやすくなります。
5.長い目で見れば、目標は自分の力を高めること
やっぱり自分自身の力を高めていくというのが唯一の目標になるのかなと思います
出典:将棋情報局「藤井聡太竜王・名人インタビュー『将棋年鑑2026』」(2026年)
八冠を達成した後、どのように目標を設定しているのかと聞かれたときの言葉です。
藤井聡太は、大きな記録を目標にして一直線に進むことは、もともと得意ではなかったと振り返っています。
目の前の対局で良い将棋を指したい。そのために自分の力を高めたい。
外から見える肩書や数字ではなく、自分の内側にある成長を目標にする考え方です。
思うような結果が出ないときでも、以前より理解できたことや改善できたことは残ります。結果だけでは測れない成長にも目を向けたいと思わせてくれます。
勝敗とプレッシャーに向き合う藤井聡太の名言5選
6.勝ちたいときほど最善へ近づく
勝つためにはいかに最善に近づくことしかない
出典:将棋情報局「藤井聡太四段インタビュー『強くなることが僕の使命』」(2017年)
勝負に闘志は必要かと聞かれた場面で語った言葉です。
勝ちたい気持ちが強くなるほど、失敗への不安や焦りも大きくなります。
しかし、勝敗は相手や状況にも左右されます。自分が直接選べるのは、目の前でより良い行動を探すことです。
結果を何度も想像するより、今できる最善へ集中する。
仕事や勉強でも、結果への不安で動けなくなったときに思い出したい考え方です。
7.自分の型にとらわれすぎない
棋風に囚われすぎないようにしたいとは思います
出典:将棋情報局「藤井聡太四段インタビュー 夏、十四歳の声」(2017年)
得意な戦い方や自身の棋風について聞かれたときの言葉です。
経験を重ねると、自分なりの方法が見つかります。それは大きな強みです。
一方で、「自分はこのやり方しかできない」と決めつけると、新しい選択肢が見えにくくなります。
自分らしさを持ちながらも、それに縛られない。必要なら考え方や方法を変える。
変化を受け入れる柔軟さも、長く成長するための力になります。
8.結果を求める前に実力をつける
実力なくして結果を求めることはできないので
出典:将棋情報局「インタビュー 藤井聡太四段『2018年は“飛翔”の年に』3」(2018年)
順位や棋戦での短期的な目標を聞かれたときの言葉です。
結果がほしいと願うことは、決して悪いことではありません。
ただ、望むだけで結果を変えることはできません。必要な知識や技術を身につけ、準備を積み重ねる時間が必要です。
結果を急ぐと、まだ足りない自分を責めたくなります。
そんなときは、評価されることより、今日一つ実力をつけることへ意識を戻す。その積み重ねが、やがて結果を受け止められる土台になります。
勝敗に左右されず力を蓄える考え方は、羽生善治の名言・格言15選にも通じています。
9.喜びに浸るより次の準備をする
しっかり準備をすることのほうが大事だと思いました
出典:将棋情報局「藤井聡太棋聖インタビュー『もっともっと強くなりたい』」(2023年Web公開)
初めてタイトル戦への挑戦を決めた直後の心境を振り返った言葉です。
目標を達成した瞬間は、安心したり喜びに浸ったりしたくなります。
藤井聡太は、すぐ次に第1局が迫っていたため、感慨に浸るより準備を優先しました。
一区切りついた後に、次の行動へ目を向ける。
成果を過去のものとして終わらせず、次の挑戦へつなげる姿勢が表れています。
10.人が考え、選ぶ過程にも価値がある
今の時代においても将棋界の盤上の物語は不変のもの
出典:ダイヤモンド・オンライン「『あこがれの棋士の記録』を超えた藤井聡太」(2024年)
初タイトルを獲得した2020年、AIとの共存時代における棋士の価値を聞かれたときの言葉です。
将棋AIは、人間より正確な手を示せるようになりました。
それでも、人が悩み、意図を持って一手を選ぶ過程には、その人だけの物語があります。
正解だけが価値のすべてではありません。
迷いながら考え、自分で選び、その結果を引き受ける。その過程にも意味があると教えてくれる言葉です。
負けを課題に変え、挑み続ける藤井聡太の名言5選
11.自分で考えて新しい道をつくる
自分で考えて新しい将棋を作っていきたいです
出典:将棋情報局「インタビュー 藤井聡太四段『2018年は“飛翔”の年に』2」(2018年)
将棋ソフトから学んだことについて語った言葉です。
新しい技術や他人の考えは、自分にはなかった選択肢を教えてくれます。
ただ正解をまねるだけではなく、そこから自分で考え、新しいものを生み出す。
学ぶことと、自分の考えを持つことは両立します。
今までの方法で行き詰まったときも、外から得た知識を自分なりに組み直すことで、新しい道が見つかるかもしれません。
挑戦しながら道をつくる人物の言葉は、大谷翔平の名言・格言15選でも紹介しています。
12.一局ごとに課題を見つける
一局指すごとに課題というのはあるのかなと思います
出典:叡王戦中継ブログ「藤井叡王の記者会見」(2022年)
タイトルを防衛した後、会心の出来だと思った対局はあるかと聞かれたときの言葉です。
勝った対局でも、振り返れば十分に指せなかった部分があると藤井聡太は語りました。
成功すると、うまくいった理由だけを見てしまいがちです。
しかし、結果がよかったときにも改善点を探せれば、同じ場所にとどまらずに済みます。
失敗したときだけ反省するのではなく、うまくいったときにも学ぶ。その姿勢が、成長を途切れさせないのだと思います。
13.頂上が見えなくても登り続ける
まだ頂上が見えない意味では森林限界の手前
出典:日刊スポーツ「藤井聡太新王将、現在地を富士山で例えるなら?」(2022年)
五冠を達成した翌朝、自分の現在地を富士山に例えるなら何合目かと聞かれたときの答えです。
周囲から見れば、すでに頂上に近いような実績を残していました。
それでも本人には、将棋の頂上そのものがまだ見えていませんでした。
目標が遠すぎると、自分が進めているのか分からなくなることがあります。
けれど、頂上が見えないことは、進んでいないことと同じではありません。まだ知らない景色があるからこそ、次の一歩を続けられます。
遠い目標へ進む考え方は、大谷翔平の名言・格言15選にも重なります。
14.大きな結果の後も現在地を見失わない
タイトル戦の結果はよかったんですけど、それに見合った力があるかというと、やっぱりまだまだ
出典:朝日新聞出版「藤井聡太『八冠』の前人未到の偉業を詳報」(2023年)
史上初の八冠を達成した後に語った言葉です。
結果だけを見れば、これ以上ない到達点に見えます。
しかし藤井聡太は、獲得したタイトルの数と、自分が感じる実力を分けて考えていました。
褒められたときに喜ぶことも大切です。同時に、その評価だけで自分を完成させないことも大切です。
結果を否定せず、それでも次に伸ばす部分を見る。大きな成功の後にも学び続ける姿勢が表れています。
15.負けた後も少しずつ力をつける
実力が足りなかったということだと思うので、少しずつ力をつけていくしかないのかなと思います
出典:テレビ山梨「『実力が足りなかった』藤井七冠陥落」(2025年)
王座戦で伊藤匠に敗れ、タイトルを失った後の言葉です。
大きな敗北の直後は、言い訳を探したくなったり、すぐに取り返そうと焦ったりします。
藤井聡太が示したのは、足りなかった事実を受け止め、少しずつ力をつけるという道でした。
一度の努力で急に強くなるわけではありません。それでも、負けた理由と向き合い、次に必要なことを重ねることはできます。
挫折は終わりではなく、自分の現在地を知る機会にもなります。
思うような結果が出ず心が折れそうなときは、自信をなくしたときに読みたい名言10選もあわせて読んでみてください。
まとめ|藤井聡太の名言は、結果より今日の一手へ目を向けさせてくれる
藤井聡太の15の言葉をたどると、勝敗そのものよりも、「次に何を改善するか」へ意識を戻す姿勢が見えてきます。
- 好きという気持ちを、続ける力にする
- 遠い記録より、目の前の一手に集中する
- 勝った対局にも課題を探す
- 負けたときは、足りなかった力を少しずつ補う
努力がすぐ結果に表れないと、それまでの時間が無駄だったように感じることがあります。
けれど、今日考えたことや身につけた力は、勝敗だけでは消えません。
今すぐ大きく立て直すのではなく、今の自分に選べる一手を考える。その積み重ねが、ここで終わらずに次へ進む力になります。
人生の方向に迷っているときは、人生に迷ったときに読みたい名言28選も参考にしてください。


コメント